《大会終了のご報告》
昨年コロナの猛威によりやむなく開催を見送った第13回小児がん全国大会は2021年夏リベンジを果たしました!

昨年計画していました「第13回小児がん大会」は、新型コロナウイルスの猛威により断念せざるをえませんでしたが、今年は社会的な防御意識の高まりと、リモートなどによるシステムが広く整いましたため、開催を決めました。皆様のご協力のおかげにより無事に終了できました事、感謝申し上げます。


幼少期や学童期に発病した小児がん経験者の多くは、長期入院のために運動や外遊びの機会が少なく、その後も運動に苦手意識があるように見えます。
エスビューローは数年前より小児がん患児のフレイルについて問題提起し「運動すること」を推奨して参りました。その後、コロナ禍の緊急事態宣言などによる自粛生活により、小児がん経験者に限らず、多くの人が運動不足を実感し、万人に運動の大切さとその必要性が高まった結果となりました。
若年フレイルを予防し生活習慣病に備えるには「運動」と「社会参加」が大切です。
今回のシンポジウムでは改めてその重要性と、各々が予防できる方法やポイント、アドバイスなどをそれぞれの分野の先生よりご教示いただきました。また、コロナの実態と、小児がん経験者が感染から身を守るために知っておくべき事柄を学びました。その内容を少しだけ抜粋してご紹介いたします。

開催場所・日時

  • 2021年8月22日(日):会場/4階 Aホール 開催時間 13:00~17:00 ※参加無料
  • 場所:御堂会館 〒 541-0056 大阪市中央区久太郎町4丁目1-11
  • 御堂会館 WEBサイト

大会内容報告

  • 小児がん経験者の早期老化を防ぐために ~最新研究から~
  • 原 純一 氏(大阪市立総合医療センター 副院長)

  • フレイルとサルコペニア
    2014年に日本老年医学会が提唱して以来、介護予防のキーワードとして注目を集めています。フレイルの語源は「虚弱」「脆弱(ぜいじゃく)」などの意味するfrailty(フレイルティ)で、健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間を指します。

    サルコペニアもフレイルも、加齢に伴う機能低下を意味していますが、サルコペニアは筋肉量減少を主体とした筋肉、身体機能の低下、フレイルは移動能力、筋力、バランス、運動処理能力、認知機能、栄養状態、持久力、日常生活の活動性、疲労感など、非常に広い要素が含まれています。

    小児のがん治療による晩期合併症は、抗がん剤治療によるものとして、高脂血症や高尿酸血症、高血圧、動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病と腎機能低下などが考えられます。放射線治療では認知症の発症が挙げられます。またどちらにも関係している晩期障害はがん、白内障、心筋梗塞、骨粗鬆症、糖尿病などがあります。このようにいずれも老化による疾病と同じであるため、小児がんサバイバーの晩期合併症は早期老化であると言えます。

    晩期合併症対策は、少しでも老化を遅らせることがポイントになります。一般の中高齢者がする老化対策と同じもので、それを若い時期から始めることを奨励します。


  • 老化を遅らせるための方法
    老化を防ぐ遺伝子というのは、ストレスがかかった時に身体を守ろうとするものである。 従って、これらの遺伝子を活性化するには、適度なストレスを身体に加えることが有効です。
  •   ・心臓が少しドキドキするくらいの有酸素運動
  •   ・カロリー制限
  •   ・寒冷刺激など
  • また、ビタミンや食品に含まれる物質もこれらの遺伝子を活性化することができます。
  •   ・ビタミンD :がんやコロナ感染での死亡率低下、現代人は不足しがち
  •   ・レスベラトロール :赤ワインにふくまれるが少量のため食品あらの摂取では不十分
  •   ・スペルミジン :大豆に多く含まれる
  •   ・メトホルミン :糖尿病の治療薬で、現在老化について臨床試験中
  •   ・NR(ニコチンアミドリボシル)、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオシド) :臨床試験中
  •   ・mTOR阻害薬 :ラパマイシンがあるが免疫抑制作用が強いため他の物質を探索中
  •   ・老化細胞を取り除く物質や除去するためのワクチンも現在開発中である。


  • より詳しくお知りになりたい方は、これら2冊の本をおすすめします

  • 『LIFESPAN(ライフスパン): 老いなき世界』デビッド・A・シンクレア, マシュー・D・ラプラント他

  • 『老いの取扱説明書 (ニュートン別冊) 』


  • スポーツがもたらす生活習慣病への効果
  • 真田 樹義 氏(立命館大学 スポーツ健康科学部 教授)
  • フレイルの評価として国際法によく用いられるCHS基準




  • アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)を通して考える、自分らしい生きがいのある生活
    ~慢性痛の臨床現場からの提案~
  • 酒井 美枝 氏(臨床心理士)(名古屋市立大学 大学院医学研究科 特任助教)

  • バリアとうまく付き合いながら、自分らしい生活を送る


  • 知っていますか? 卓球療法
    ~車イスでもできる近年人気の運動療法~
  • 森 照明 氏(NPO 法人 日本卓球療法協会 顧問、医師)※録画参加
  • 長渕 晃二 氏(NPO 法人 日本卓球療法協会 理事長)

  • 卓球療法とは
  • 1)概念
    卓球の用具を活用したリハビリや予防の方法。主な対象は身体疾患、認知症、精神疾患、障害児など
  • 2)方法
    対象によって、ラリー、卓球マシン、卓球バレー・卓球ホッケー、的あて・的いれ、ゲームやダブルス、その他がある
  • 3)効果
    バランス、動体視力・視野、反射神経、関節の可動、握力、手指の器用さ、生活習慣病、脳の活性化、集中力、コミュニケーション力、感情表出、基礎体力、緊張感への抵抗力、意欲
  • 4)実施施設
    医療機関、福祉施設、卓球場、公共施設など



  • 悲しみに直面された方、ぜひご参加ください
    Not Just Postive or Negative: 生きていくための科学・医学
  • 柳澤 隆昭 氏(東京慈恵医科大学 脳神経外科学講座 教授)






  • 『グリーフケアの時代―「喪失の悲しみ」に寄り添う 』島薗 進 (著), 鎌田 東二 (著), 佐久間 庸和 (著)


  • 専門医との Q&A
    セッション
    「小児がん経験者の新型コロナウィルス対策について」
  • 原 純一 氏(エスビューロー理事/大阪市立総合医療センター 副院長)

  • 柳澤 隆昭 氏(ロスカレッジ顧問/東京慈恵会医科大学 脳神経外科学講座 教授)

  • 一戸 辰夫 氏(エスユース理事/広島大学 原爆放射線医科学研究所 教授)

  • 安道 照子(エスビューロー代表)、長澤 正敏(エスビューロー事務局長)

  • 後遺症とリスク因子
  • ・ウイルスが増殖した後、強い免疫反応が生じ全身の炎症をきたす
    ・肺炎、血栓症などを生じ、突然死の可能性がある
    ・脳にもウイルスが移行する
    ・後遺症として、呼吸不全、記憶力低下
    ・リスク因子
       ・肥満、糖尿病、喫煙者、妊婦、免疫の低下してる人
       ・ある種の遺伝子を有してる人
       ・若年で重篤となる人

  • ワクチンについて
  • インフルエンザワクチンと比べてはるかに高い有効率
    ・mRNAワクチン
      「ファイザー」「モデルナ」
        感染予防率95%と高い効果
        まれな副作用として心筋症(100万回に1回)
    ・ウイルスベクター
      「アストラゼネカ」
       効果はmRNAワクチンより少し落ちる
       まれな副作用として血栓症(10万~25万回に1回)
    効果は接種後徐々に低下する
     おそらく年1回の追加接種が毎年必要(変異株の対応も含めて)


  • 今後の見通し
  • ・無症状者が若年であるため、今後感染流行を防ぐことは不可能
    ・インフルエンザとの大きな違い
    ・未来永劫、ワクチン未接種者と未感染者を中心に通年的な小流行が継続
    ・流行することで変異株がどんどん生まれる
    ・有効な治療薬ができても発症直後の死亡は防げない
    ・ワクチンを受けなければ、一生の間のどこかで必ず感染

  • アンケートより
  • 今回のコロナのテーマは大変有意義でした。報道だけでは不透明でとまどうことも多く、原先生、 一戸先生のお話が有り難かったです。

    とてもわかりやすいセミナーで、リモートという事を忘れるほど、どのテーマも引き込まれました。 皆さんと交流はできませんでしたが、画面にかじりついてみる事が出来、リモートの良さも、実感致しました。

  • サマースクール シーズン10

  • 過去のサマースクールの映像を編集し放映しました。
  • エスビューロー(Es Bureau)とは

    「患児の大切な命」を中心に、それを囲む家族とドクター、ナースなどの医療従事者、その他さまざまな人たちが、お互いに理解し合い歩み寄る橋渡しとなるべく、阪大小児科で入院生活をともにした母親と、当時診ていただいていた小児科の原医師、小児外科の草深医師とともに発足いたしました。厳しい治療、長期入院、またそこから発生するストレスや不安と日々闘っておられる患児とそのご家族。医療が進歩したと言えどもまだ多くの課題や困難をかかえている状況下、患者さんの切実な願いに対して、努力を重ね治療に臨んでくださっている医療者の方々。双方における精神的負担を、円滑なコミュニケーションと相互理解により100分の1でも緩和できるよう、また必要な知識とコミュニティの提供ができる様々な活動をおこなっています。

  • 「この法人は、医療従事者と患者側のコミュニケーションを促進する・・・などの事業を行うことによって相互の理解を深め・・・双方の精神的負担の軽減に寄与することを目的とする」

    これが当団体の定款に定められた目的です。すなわち”医療者と共に設立された団体である”という特色を活かし医療者と患者の中間で相互のコミュニケーションを促進する、またはその仕組みを作ることこそ第1のミッションです。医療者は患者の気持ちをもっとよく知り、患者は医療者の本意に耳を傾けるならば、もっと医療はよくなるはずだと私たちは思っています。

  • エスビューロー ミッション

    一人で闘病するよりも、励ましあえる仲間とともに歩むほうが治療成績もよいと考えられています。患者同士のコミュニティや患者家族のコミュニティができるならば、病気の内容と治療方法、晩期障害や心的障害など互いに必要なナレッジ(知識)を蓄積して行けるでしょう。私たちの闘病経験から得た知恵を外部の研究成果を踏まえてアレンジし、後輩に活用してもらうことが続いていくなら、つらい体験もまた意味を持つといえます。ナレッジと人が交流するコミュニティづくりが、もう1つのミッションであると考えています。

  • ご寄付のお願い

    エスビューローの活動は、みなさまのご寄付で支えられています。今後も継続的に活動を支援していただけるみなさまを募集しております。 患児・家族を支えるエスビューローの活動に対する、みなさまからの暖かいご支援がとても大切です。ぜひともよろしくご協力をお願い致します。
    ご寄付について