ネットでeクラスが育む「心の知能指数EQ」

2010年5月27日 長澤正敏(NPO法人エスビューロー事務局長)

昨年9月より「ネットでeクラス」をスタートして、はや8カ月になろうとしています。ネットでeクラスは9人で1クラスのホームルームと、講師と生徒がマンツーマンの個別学習の2つの体制で運営しています。個別学習は学校の授業、なかでも数学や英語などの科目の補習的意味合いが強いのですが、それではホームルームの方は一体何を育んでいるのでしょうか?子どもたちのどのような能力を育んでいるのでしょうか?

知能というのはIQで表わされる一つのものだと思われがちですが、アメリカのハワード・ガードナーという学者は多重知性(Multiple Intelligences)理論というものを提唱し、8つから9つの知能を認めています。

それは(1)言語的知能 (2)論理数学的知能 (3)音楽的知能 (4)身体運動的知能 (5)空間的知能 (6)対人的知能 (7)内省的知能 (8)博物的知能((9)実存的知能)です。

(6)の対人的知能(Interpersonal Intelligence)とは、他人の意図や動機・欲求を理解して、他人とうまくやっていく能力であり、(7)内省的知能(Intrapersonal Intelligence)とは自分自身を理解して、自己の作業モデルを用いて自分の生活を統制する能力、です。

IQは上の知能のうち(1)および(2)にほぼ対応していると考えていいのではないでしょうか。それに対して、(6)と(7)の知能はEQと呼ばれます。EQとは「心の知能指数」ともいわれ Emotional Intelligence Quotientの略です。サロベイとメイヤーという学者によって提唱されたものですが、ゴールマンの”Emotional intelligence”(EQこころの知能指数)という本がベストセラーになったことで、広く知られるようになりました。読んだことのある人もいると思います。

「EQこころの知能指数」のなかで

  1. 自分自身の情動を知ること
  2. 感情を制御すること
  3. 自分を動機づけること
  4. 他人の感情を認識すること
  5. 人間関係をうまく処理すること

が基本定義として書かれています。すなわち、これらの5項目を高いレベルで実行できる人が、EQが高い人です。

私は、小児がんのサバイバ―である子どもたちは、EQが高い可能性がある、と考えています。みんながみんなそうではありません。でも、過酷な闘病経験を乗り越えてきて、少々のつらいことでも泣き言を決して言わない気持ちの強い子によく出会います。また、彼らは、異口同音に「病気になって弱い立場の人の気持ちが分かるようになった」「相手の立場に立って考えることが大切」というのです。

EQはコミュニティのなかで育まれます。2週間に一度の「ネットでeクラス」 のホームルームは小児がんサバイバ―である彼らが帰属感を感じることのできるひとつのコミュニティです。

私は、ネットでeクラス(ホームルーム)を、彼らの素養であるEQとしての知性を引き出し、さらに高める場にしたいと思います。子どもたちのEQを育む場、それがネットでeクラスなのだと考えています。

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