出来ればいいなーが出来るようになる「ネットでeクラス」

2010年9月16日 長澤正敏(NPO法人エスビューロー事務局長)

去る7月30日に大津プリンスホテルにて今年で第3回となる小児がん・脳腫瘍全国大会を開催し「ネットでeクラス、1年間の軌跡」と題したシンポジウムを行いました。

昨年夏から始めた小児がんサバイバー同士の話し合いと学習の場を提供しているこのプログラムについて、実際に利用している3人のサバイバーに登壇してもらい、当団体代表の安道と私の司会で発表や意見の交換をしました。自己紹介の後、ネットでeクラスを1年間利用してきた感想、母親が書いた感想文の紹介などを3人のサバイバーが行いました。

  • 「ふだん会えない、自分と同じ境遇をもった人と出会えて心が軽くなった。自分は物が二重に見えたり記憶力も悪くなっているので学校の授業についていけなかったけど、eクラスでは自分のペースで教えてもらえるのでよくわかる。」(高3男子)
  • 「小児がんの仲間と一緒にがんばることで生きる希望が湧いてくる。学校での生活など何事にも消極的になっていた娘が、eクラスではいつも笑顔で笑い声も多く、自分だけじゃないと思えることで、集団に積極的に関わるようになってきた。」(中1女子の母)
  • 「入院中の子どもでもeクラスによって行ったこともないところの景色を見たり、同じ経験をした者同士が支えあい学べる、本当に助けになると思います。」(高2女子の母)

学校のクラスで自分の居場所を見つけにくくなったときに、このサバイバーのコミュニティ「ネットでeクラス」があることが一つの支えになったというはなしを聞き、やってきて良かったと心から思いました。

以下に大会の会場で高3男子の父親が発表してくれた内容の一部を、ご本人の了解を得て掲載して終わります。

この「ネットでeクラス」がもっと広く知れ渡り、参加人数が増えればまだまだ出来ることが広がって行くように思います。たとえば世代毎のコミュニケーションや保護者同士の意見交換、現在闘病中の方へのフォローや励まし等、出来ればいいなーが出来るようになるかもしれない、それはとても素晴らしいことだと思います。

自分の子供が小児がんを患ったとき、「なぜこの子だけが」とか「なぜ私たちだけがこんな目に」と思いました。しかし入院中同じ境遇の人たちや過去に経験した人たちの話を聞き、また、頑張る子供たちの姿を見るたび自分たちだけではないことを知りました。あの子もこの子も頑張っているんだ、じゃあ自分も!と思えるようになってきます。その、知ることによって湧いてくる力、これが前を向くために絶対に必要だと思うのです。「ネットでeクラス」の取り組みはその「知ること」に対して大きな力になるのでは無いでしょうか?

私は知ることによって力をもらい前を向けた一人として、この「ネットでeクラス」の可能性とエスビューロー様の活動に期待をし、微力ながら応援、協力してまいりたいと思っております。(高3男子の父)

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